涙飴
もう、後戻りは出来ない。

大地を見ると、思った通り驚いた様な表情をしていた。


「まじ……?」


あたしの事なんて、ただの幼馴染みとしか思ってなかったのだから、信じられなくて当然だろう。

そう思っていたけど、次の大地の言葉は、想像していたものとは違っていた。


「俺も、好きだったよ」


そんな言葉に、あたしは驚き声も出ない。


「いや、好きだったのかな……」


『だったのかな』とは、どういう事だろう。

あたしは動揺を隠せなかった。


「俺さ、物心ついた時からずっと姫月が好きだった。

っていうか……好きだと思ってた」


「好きだと思ってた?」


「うん。俺はさ、一緒にいて楽しくて、何でも話せて、言葉に詰まる事がなくて、大事な存在で、素の自分を見せれる……それが恋だと思ってたんだ」


それって…


「あたしの事?」


大地は少し間を空けてから、コクリと頷いた。
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