涙飴
「本当!?」


いきなり美津菜が大きな声を出すから、耳にキンキンと響いた。


「ありがと~!
あ!あと浴衣強制だから」


「浴衣ぁ!?そんな男子の前で浴衣なんて、なんか凄い気合いいれてるみたいじゃん……」


「姫月はそういうとこ意識過ぎだよ。そんなこと思わないって」


まぁ確かに、意識し過ぎな所があるとは自分でも思うけど。


「それにあたし一人で浴衣は、それこそ気合いいれてるみたいでしょ?」


「結局美津菜が着たいだけじゃん」


あたしはそう言いながらも、渋々OKをした。


文化祭の時に着た黒の浴衣を着付ける。
文化祭の時に覚えたので、一人で気付けが出来るようになった。


長い髪は、頭のてっぺんでお団子にする。


「そういえば時間……!」


携帯を見ると、家を出ようとしていた時間をとっくに過ぎていた。
あたしは慌てて家を飛び出す。
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