涙飴
「はいはい。あ、もう二人とも居るよ」


前を見ると鳴海と五十嵐が居るのが見えた。
道の両脇には、屋台がズラッと並んでいる。

あたしと美津菜は、人込みを掻き分けながら鳴海と五十嵐の居る方へ進んだ。


「待った?」


美津菜が二人に聞く。


「全然!二人とも浴衣か」


鳴海の一言で美津菜の頬はほんのりとピンクに染まる。


「うん。……あ!あのさぁ、皆でアド交換しない?ほら!あたしは姫月と鳴海のは知ってるけど五十嵐のは知らないし、鳴海も姫月の知らないでしょ?
せっかくこうやって会ってるんだし、ねぇ?」


美津菜は五十嵐の様子を伺いながら話している。
すると鳴海がこれに答えた。


「そうだな!せっかくだし!」


そう言いながら鳴海は携帯を取り出す。


五十嵐の方を見ると、ジーパンのポケットから携帯を出していた。


「これで五十嵐とメール出来るね」


あたしの耳元で、美津菜がニヤニヤと笑いながら言って来た。

どうして美津菜の頭では、そういう事になっているんだろう。
< 133 / 268 >

この作品をシェア

pagetop