涙飴
あたしは美津菜に聞こえる様に、わざとらしく溜め息を吐いた。

まあそんな事をした所で、美津菜が怯む訳がないのは重々承知しているけど。


取り敢えず、鳴海と五十嵐とアドレスを交換する。



「じゃ、行きますか!」


そう言って鳴海が歩き出した。


気が付くと、鳴海の隣には美津菜が居た。
美津菜の早技に呆気にとられる。
そうなると、あたしの隣には五十嵐が来た。

さっきから一言も話していない。
たった数週間会わないだけで、五十嵐がものすごくかっこよくなった様に見えて、何だか初めて会った人の様に思えた。

時々見える横顔が本当にかっこ良くて、あたしの頭を混乱させる。





すると突然、五十嵐があたしの手を握ってきた。
< 134 / 268 >

この作品をシェア

pagetop