涙飴
ありえないとは思いつつも、五十嵐の返事を待つ。


「別にそんなんじゃねぇよ。
ただ……俺は悠士に幸せになって欲しいだけだよ」


顔を赤くしながらそう言った。


「へ?もしかして鳴海も美津菜のこと好きなの!?」


「それは知らねぇけど、あいつ元カノの事で結構引きずってるから……榎田のこと好きになれば忘れられるかと思ったんだよ」


意外な言葉に驚いたけど、やっぱり五十嵐は嫌な奴じゃないと、あたしは改めてそう感じた。


「そっか」


なんだか心の中が、日の光に照らされた様に温かくなった気がした。


「あのさ……あたし、告白したんだ。大地に」


自然と口から言葉が出て来た。
ただ、何となく言いたい気分だった。
五十嵐は何も言わずにこっちを見て来る。


「……フラれたよ!っていうか答えちゃんと聞いてないけど。
でもね、あたし達両想いだったんだって。まぁそれも大地が友情と恋愛を勘違いしてただけなんだけど」


あたしはわざとらしい位の明るい声で言った。
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