涙飴
「これ……」


どうして入学式の写真美津菜が持っているのだろう。


「ごめん。教科書に挟まってて……」


多分間違えて教科書の間に入れちゃったんだ。


「これ、小野寺だよね?」


「うん。言ってなかったっけ?
あたしと大地幼馴染みなんだよね。
あの向かいの灰色の家、大地の家だし」


あたしはそう言いながら、窓から大地の家を指差す。


「だから姫月小野寺のこと大地って呼ぶのか!ずっと不思議だったんだよね。
……もしかして、好きとか?」


一瞬顔が引きつったけれど、何とか笑顔を作る。


「……昔ね!今はもうただの幼馴染み」


「この写真の時も?」


心臓が飛び出そうになる。
平然に…平然に……そう何度も自分に言い聞かせる。


「その時はもう好きじゃなかったよ」


「……嘘」
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