涙飴
「姫月?」


「だから好きじゃないから!」

「は?今鳴海の話してたんだけど」


あたしは美津菜の話が入らない程一人で考えていた様だ。


「ごめん、もう一回言って」


「だから、鳴海の誕生日がね、宿泊学習の日なんだって!」


そう言えば、一ヶ月後に宿泊学習があるんだっけ。
確か一泊二日で、山登ってバーベキューとかをするとか。


「え!?美津菜って鳴海君の事好きなの?」


その声を聞いて美津菜の顔が曇る。
華耶が大地との話を終えて、あたし達の会話に入って来た。


「好きじゃないよ」


美津菜は無表情で華耶にそう言った。


「そっか……美津菜怒ってる?」


その質問に、美津菜は何も答えない。


「あー…昨日徹夜で宿題やったから、あんまり機嫌良くないだけだよ」


そうあたしがフォローを入れると、華耶はそっかぁ!と納得した。

確実に美津菜の華耶への態度は今までと違う。
その後も華耶が話しかけても、美津菜素っ気無い態度で、その表情に笑顔はなかった。
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