涙飴
「鳴海くーん!」



華耶は最近鳴海に良く話しかけていた。
今も、ノートを片手に鳴海と何か話している。


「華耶、何やってんの?」


美津菜は怒りで声が震えている。


「分かんない……でも、おかしいよね」


鳴海と話し終えた華耶が、こっちに向かって来る。


「華耶、鳴海と何話してたの?」


あたしは笑顔で問い掛けた。

「数学の分からない所教えてもらってたの」


さすがにこれにはあたしも苛立ちを隠せない。


「……別に鳴海じゃなくてもいいじゃん」


美津菜は明るい口調で言うけれど、目は笑っていなかった。


「……てかさぁ、最近華耶鳴海と話し過ぎなんじゃない?大地はいい気分しないと思うけど」


大地がいるくせに、そう心で呟いてしまった。


「だって鳴海は友達だし、別に友達と話すのっていけない事じゃないでしょ?」


当たり前の様に言う華耶に、あたしと美津菜は唖然とした。


「……そういう問題じゃないと思う。鳴海は男なんだし」


美津菜は俯きながら、震えた声を出した。
凄く怒っている。


「でも好きとかないし、大地君とは別の存在っていうか、友達だから」
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