涙飴
「ま、自業自得ってやつでしょ」


自業自得。確かにあたしもそう思った。


「でも良かったじゃん?華耶が鳴海に話し掛ける事もなくなったし」


あたしは笑顔で美津菜の方を見る。
けど美津菜の表情は相変わらず曇ったままだ。


「そうだけどさ……最近妙に五十嵐に話し掛けてない?」

美津菜の言葉は本当だった。
あれから華耶は鳴海に話し掛ける事はしなくなったけど、五十嵐に話し掛けるようになった。

それはあたしも感じた。

しかも鳴海の時はただ話してるって感じだったけど、今はどう見ても好きな人にアタックしている様にしか見えない。


「姫月はいい訳?」


「へ?何が?あたし別に五十嵐の事好きじゃないし」


あたしの言葉に、美津菜はハァーっと溜め息を吐く。


「姫月がそう言うならいいけど。
てか華耶は何考えてる訳?
小野寺と付き合ってるんじゃないの?」


あたしもずっと疑問に思っていた。
華耶は大地と付き合っているのに、一体何を考えているんだろう。

それに、この前五十嵐にあれだけ冷たくされたのに、よく話し掛けられるよな……。
< 164 / 268 >

この作品をシェア

pagetop