涙飴
本当に何を考えているのだか、全く分からない。


大地とは別れたの……?
どうして五十嵐に話し掛けるの?


「この前あたし達が言った事、全然分かってないじゃん。
どうせ姫月と五十嵐がいい感じなのに気付いて、盗ろうとしてるんじゃないの?」


近くに華耶がいるにもかかわらず、美津菜は大音量で話してくる。


「美津菜声でかいし!
てか別にあたしと五十嵐いい感じじゃないし、華耶は本当に五十嵐の事好きなんじゃない?」


最低なんて言われているのに話し掛けるなんて、相当好きじゃなければ出来ないだろう。
あたしは華耶に五十嵐が好きとか言ってないし……いや、好きじゃないけれど。


「でもさぁ……ま、いっか!
どうせ五十嵐には相手にされてないし」


美津菜はあたしが注意したのを無視して、相変わらずの大音量でそう言った。


美津菜の言う通り、華耶は全く五十嵐に相手にされていない。
見ていて悲しくなる位に。

華耶が五十嵐に話し掛けても五十嵐は完全無視。

言葉を返すにしても、『邪魔』『うざい』とか一言吐き捨てるだけ。
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