涙飴
その光景を見て安心しているあたしが居た。
どうしてだろう。
華耶に対しての怒りがあるからだろうか。


さっき走っていた人達がブルーシートへ戻って来た。

あたしの出番はまだまだ先だけど。


「それよりさ、あの日!
美津菜が鳴海に呼び出された時、てっきり告白されるのかと思ってたけどまだ付き合ってないんでしょ?
何があった訳?」


ずっと聞きたかったけど、最近の美津菜と鳴海の間にはなんだか周りとは違う空気が流れていて、なんとなく聞きにくくて聞けなかったのだ。

美津菜から話してくれる気配もないし……。


「あーあの日ね!告白はされてないよ。
ていうか鳴海はあたしが鳴海が好きな事に気付いてないみたいだし。
だからあたしがキレた理由も分からなかったみたい」


気付いてないんだ。
美津菜が怒っていた理由も分からなかったとは意外と鳴海も鈍感なんだなぁ。


「でもね……『何があったのかは分らないけど、辛い時はいつでも頼っていいから。俺がお前のこと支えるから』って言って……抱き締めてくれた」


「だっ抱き締めっ!?」
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