涙飴
「だからさぁ~違うって言ってんじゃん」


「はいはい。でもさぁ……」

はいはいって……。
絶対美津菜、あたしの言葉なんて聞いていない。


「なんか他の女子達も狙ってるみたいだからさ……」


「へ?何を?」


「だから鳴海と五十嵐と同じ班になること!」


はい?
何…狙ってる……?
つまりモテてるという事だろうか。

まあ確かに分からなくはないけど、でも前は五十嵐が怖いからって皆近付かなかったのに。


「鳴海目当ての子もいるかもしれないけど、多分半分以上が五十嵐目当てじゃん?」


美津菜の言葉にあたしは胸が少し痛んだ気がした。


「何で?皆怖いって言ってたじゃん」


あたしは平然とした顔を作って美津菜に聞いた。


「最近五十嵐前より優しくなったって女子の間で評判でさ。
前みたいに暴言とか吐かなくなったし、少しだけど笑ったりしてるし、それでファンが増えてるみたいだよ。

まぁ元々があの顔だし、ちょっと笑顔見せるだけで皆クラッときちゃうみたいだね」
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