涙飴
隣
今日は宿泊学習当日。
華耶と喧嘩した日以来、五十嵐とはまともに話していない。
華耶とも、特に言葉を交わさないまま当日になってしまった。
「姫月~!早くっ」
美津菜が大声で叫びながら手招きをしているのがうっすらと見える。
十一月の朝六時はまだまだ暗くて、眠気が終始襲ってくる。
その眠気のせいで遅刻してしまったのだけど。
「遅いよー。もう皆バスの中にいるから」
美津菜、寒いのに待っていてくれたんだ。
あたしたちがバスに乗り込むと、皆もう席に着いていた。
何で皆寝坊しないんだろうとあたしは思いながらも奥へ進んでいく。
「あれ……?華耶は?」
補助席に座っていると思っていた華耶がそこには居なかった。
バスの中を見渡してもどこにも居ない。
もしかして、華耶も遅刻だろうか。
「微熱あるらしくて、下がったら親と車で来るらしいよ」
美津菜の口調からは心配というものは感じられず、むしろ今にも叫びそうな位嬉しそうだ。
「あっそ」
あたしは素っ気無い返事をして自分の席に座った。
本当は素っ気無いふりをしただけだけど。
だって……
「本当は嬉しいくせに!
隣、五十嵐だよ!」
華耶と喧嘩した日以来、五十嵐とはまともに話していない。
華耶とも、特に言葉を交わさないまま当日になってしまった。
「姫月~!早くっ」
美津菜が大声で叫びながら手招きをしているのがうっすらと見える。
十一月の朝六時はまだまだ暗くて、眠気が終始襲ってくる。
その眠気のせいで遅刻してしまったのだけど。
「遅いよー。もう皆バスの中にいるから」
美津菜、寒いのに待っていてくれたんだ。
あたしたちがバスに乗り込むと、皆もう席に着いていた。
何で皆寝坊しないんだろうとあたしは思いながらも奥へ進んでいく。
「あれ……?華耶は?」
補助席に座っていると思っていた華耶がそこには居なかった。
バスの中を見渡してもどこにも居ない。
もしかして、華耶も遅刻だろうか。
「微熱あるらしくて、下がったら親と車で来るらしいよ」
美津菜の口調からは心配というものは感じられず、むしろ今にも叫びそうな位嬉しそうだ。
「あっそ」
あたしは素っ気無い返事をして自分の席に座った。
本当は素っ気無いふりをしただけだけど。
だって……
「本当は嬉しいくせに!
隣、五十嵐だよ!」