涙飴
…なんだ。
五十嵐は、小さく寝息を立てながらスヤスヤと眠っていた。
肩の力が一気に抜ける。
あたしは五十嵐の寝顔をまじまじと見た。
なんでこんなに整った顔をしているんだろう。
女子達が騒ぐのも当たり前だよね。
目も鼻も口も輪郭も、非の打ち所なんて全く無くて、おまけに頭もいい。
それに比べてあたしは…
いや、比べる事自体間違ってると思うけど、でも、もしあたしが五十嵐のこと好きになったら、そしてもし、恋人同士になったりなんかしたら、嫌でも比べられるだろう。
きっと誰もが思う、“釣り合わない”と。
そんな事、あたしだって分かってる。
ずっと前から気付いてる。
だからあたしは五十嵐のことを好きになったりはしないし、好きになったとしても叶う訳がない。