涙飴
「あー…なんかだりぃな…」
突然五十嵐が力のない声でそう呟く。
確かに五十嵐の顔色はあまり良くない。
「大丈夫?薬飲む?」
「平気。多分まだ眠気が抜けてないからだと思うし」
でも、やっばりなんか辛そう。
ほっとけないよな…。
どうしたらいいんだろう…あ。
「五十嵐、これあげる」
あたしは自分のバッグから苺味の飴を1つ取り出すと、それを五十嵐に渡した。
「…飴?」
「うん。それ舐めれば少しは元気になるかなぁと思って…っていらないか」
何やってるんだろう。
飴で元気になるはずないじゃん。
本当お節介だよね。
そう思いながら五十嵐の顔を見ると、五十嵐は微かに笑っている様に見えた。