涙飴
「サンキュ」



包み紙を開けてピンク色の飴玉を摘むと、口の中へ飴玉を入れる五十嵐。
微かに苺の甘い匂いが漂って来る。


「…ぷっ」


「な、なんだよ?」


いきなり吹き出したあたしに、五十嵐は少し驚いた様子で聞いて来た。


「だって、五十嵐が苺味の飴舐めてる姿って、普段の五十嵐からは想像もつかないなぁと思って」


あたしの言葉に五十嵐の顔が赤くなる。


「お前が渡して来たんだろ?」



少し怒った様な口調。
だけど少し照れた様な表情。



“可愛い”


ふと思った。
初めて見たこんな表情。
こんな顔もするんだ…。
また速くなる鼓動。
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