涙飴
そんな事を考えていると、突然大地があたしに向かって謝って来た。


「ごめん!
部活の事でなんか集まりがあるらしいから、学校に戻るわ。
話聞けなくてごめんな。
今度聞くからさ!
じゃあな!」


それだけ言って、大地は小降りになった雨の中に消えていった。


「………………」


あたしは呆然とその場に立ち尽くす。
あれだけ決心して来たのに、結局何一つ、伝える事が出来なかった。


「大地君何部に入ってるの?」


あたしの様子に気付いていないのか、華耶はそんな質問を投げ掛けて来た。


「……サッカーだよ」


「へぇー…ていうか、大地君かっこいいじゃん!
告白は、出来……てないみたいだね。
まぁ、次があるよ!」


そう言って、にっこりと微笑む華耶を見て、あたしも笑顔で返した。


「……ありがと」


こんなにも親身になって応援してくれている華耶。
華耶の為にも、この恋を実らせたい、そう心に誓った。



でも、この時のあたしは何も知らなかったんだ。

何も、気付いていなかったんだ。
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