涙飴
あたしは2本目のポッキーを口に含みながら、昨日の出来事を思い返していた。


やっと五十嵐が好きだと思えたのに、結局それを伝える事が出来なかった。

五十嵐があたしの事を好きだと言ってくれたのは物凄く嬉しいし、あたしもそれに応えたい。


だけどそうする事が出来なかったのは、あたしの中にある“劣等感”からだと思う。


今まで五十嵐への気持ちを封じ込めていたのも、そんな心因からだった。



『五十嵐とあたしじゃ釣り合わない』とか、
『五十嵐にはもっと可愛い子が相応しい』とか、
そんな考えは、浅はかでくだらないのだと分かってはいるのだけれど、やっぱり何処かで『好き』とは言えずにいるあたしが居た。








それから2日が経った。
いつも通り午前中の授業を終え、美津菜と向かい合わせに座ってお弁当の蓋を開ける。

「やっぱり告白されたんじゃん!」


あたしの話を聞いた美津菜の第一声はこれだった。

そして水色の箸でお弁当のミートボールを掴むと、口の中へ入れる。



「そう、なんだけど……」


あたしはそこで言葉を濁すと、右手に持ったおにぎりを一口かじった。



「それで、どうなったの?」

美津菜は好奇心をいっぱいにした表情で聞いて来る。
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