涙飴
明るいって、あの五十嵐が?

「それに、頭は良くなくて……今と正反対だったんだよ」


鳴海は確かにそう言った。
だけど、信じられない。

美津菜も同じ事を思っていたらしく、酷く驚いた顔をしている。


「何か、あったの?」


あたしが静かにそう尋ねると、鳴海はコクリと頷いた。
そして、それについて話し始めた。


「あいつんちもさ、親が離婚してて、あいつは父親の方について行ったんだよ。

そんで、確か中2位だったかな……父親が再婚したんだ。

再婚同士で、新しい母親には連れ子が居てさ…竜夜っつーんだけど、それが今のあいつの弟」


弟居たんだ……。
全然知らなかった。


「まぁ弟っつっても、誕生日は数ヶ月しか離れてないから同じ学年なんだけどな。


んでさっきも言ったけど、その時の晃正は明るくて、いっつも笑ってて、勉強は苦手で……普通によく居る様な中学生だった。

で、その弟なんだけど、性格は明るくて、運動も出来て、オマケにすげぇ顔も整ってて……まあここまでは晃正と大して変わんないんだけど、その弟は頭も良くてさ。
俗に言う『秀才』って奴。
テストはいつも学年1位で、周りの期待も絶大。

兄弟でしかも同じ学年となると、皆その2人を比べる様になった。
……元々は赤の他人なのにな」
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