涙飴
同情
何分位教室のドアの前で立っているのだろうか。
少なくとも、カップラーメンならとっくのとうに出来上がって、麺は汁を吸い取ってふやけているだろう。
隣に居る美津菜が、何時までも動こうとしないあたしを見て、はぁ、と息を吐く。
「早く入りなよ!
好きなんでしょ?」
「そうだけど……」
あたしが言葉に詰まっていると、美津菜を迎えに来た鳴海が美津菜の代わりに口を開く。
「だったら、ちゃんと伝えなよ。
晃正は、ちゃんと受け止めてくれるから」
隣に居る美津菜も、うんうんと頷く。
2人が言っている事は分かっている。
五十嵐が、中途半端な気持ちで告白しない事、あたしを大事にしてくれている事、あたしの支えになってくれる事、それはあたし自身が一番分かっている。
だからこそ、一歩が踏み出せずにいるのだ。
「このままじゃ嫌でしょ?
五十嵐モテるんだから、誰かに盗られちゃうよ?
……そうなる前に、ちゃんと気持ち伝えなきゃ、後で後悔したって遅いんだよ?」