涙飴
美津菜の一言一言が、あたしの胸へと深く突き刺さる。

あたしの脳裏には、大地を好きだった頃の、苦い記憶が思い浮かぶ。

もう、同じ過ちはしたくない。
そう決意したのに、あたしは何を迷っているのだろうか。


「じゃあ、あたし達は帰るから。
自信持って!
姫月なら、絶対に大丈夫だから」


美津菜のそんな言葉に、思わず涙腺が緩む。

あたしには、こんなにあたしの事を応援してくれる人が居るんだ。
これ以上、ここで足踏みしている訳にはいかない。


「……ありがとう。
気持ち、伝えて来る」


あたしがそう言うと、美津菜は見た人を安心させる、そんな澄み切った青空の様な笑顔をあたしに向けた。



手を繋ぎながら並んで歩く、美津菜と鳴海の後ろ姿をあたしはじっと眺める。

その幸せそうな後ろ姿は、あたしの目にはキラキラと輝いて見えた。

あたしは意を決してドアに手を掛けると、ゆっくりとドアをスライドさせた。
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