涙飴
それが、五十嵐が変わった理由。
全ては、“愛されたい”という感情から生まれた葛藤で、それが彼の感情を押し殺していたのだろう。
「九条、謝って来た?」
突然華耶の名前を出す五十嵐に、あたしは戸惑いながらもそれに答えた。
「うん。謝って来たけど……」
「やっぱりな。
似てるって思ったんだ。
あいつも、誰かに愛して欲しいんだろうって、いつも思ってた。
きっと、孤独の中で生きて来たから、愛が欲しくて堪らなくて、ああいう行動に出たんだろうな」
だから、告白の時華耶に対してあんな事を言ったのか。
確かに、あたしも五十嵐から話を聞いた時、似ているとは感じた。
いや、五十嵐や華耶のそういった感情は誰にでもある。
そう考えれば、皆似ていると言った方が的確なのかもしれない。