涙飴
大地はあたしの腕を掴むと、引っ張り上げた。
あたしの体はフワリと浮き上がり、その場に直立する。


あたしは、やっぱり馬鹿だ。
大地の言う通り、五十嵐の事をちゃんと見ていなかった。
周りの評価ばかり気にして、自分じゃ釣り合わないとか卑屈になったりして。

好きな気持ちがあれば、それだけで良かったのに。



「大地、ありがとう」


あたしは涙声でそう伝えると、走って教室を飛び出した。















「……ありがとう、か。

俺もお人好しだなぁ……」







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