涙飴
「涙飴?」


そう言って五十嵐は、あたしの手から一粒の飴を受け取る。


「うん。新商品なんだけど、涙の味を想像して作ったんだって」


あたしがそう説明すると、五十嵐は「ふーん」と答えながら包み紙を開ける。
中には滴の形をした、水色の飴玉があった。
五十嵐はその飴玉を、口の中へ入れた。


「んっ!」

「何?おいしい?」

五十嵐はあたしの問いに笑顔でこたえる。


「あの日のキスの味」

「な、何言ってんの?」

「顔、真っ赤」


ハハッ、といつもの見た人をドキッとさせる様な笑顔を見せる五十嵐。
つられてあたしまで笑顔になる。

大好き。
そう心の中で呟く。

空を見上げると、キラキラと輝く太陽が光を降り注ぎ、真っ青な空に浮かんだ真っ直ぐに伸びた飛行機雲が、どこまでもどこまでも続いていた。




――――――end
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