涙飴
「さっきから姫月気持ち悪いよ?」


あの後スキップしながら教室に戻った。
嬉しくて嬉しくて、今にも叫びたくなる程だ。
教室には美津菜とあたしだけで、教室がいつもと違った空間に思えた。


「……何で?」


「ずっと笑ってる。
しかもにやにやした笑い」


「ひっどーい!」


「いや……顔笑ってるし」


美津菜のこんな言葉にも、今なら笑顔で対応出来る。


「何かあったの?」


美津菜が顔を覗き込みながら、そう尋ねて来た。


「んー…秘密!」


「何それ~!」


美津菜があたしの頭を軽くパシンと叩いた。
そして、数秒間の沈黙の後、突然美津菜が口を開く。


「分かった!デートだ」


いきなり正解するもんだから、あたしは動揺を隠せなかった。


「図星って顔してる。
一発で言い当てちゃうなんて、あたし天才!」


悔しいけれど、確かに美津菜はそういう事に関して妙に鋭い。
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