涙飴
あたし達は映画を観て、その後丁度お昼時だったので近くのファミレスに寄る事にした。



「そう思わない?」


「……え?あ、うん」


やっぱり、今日の大地は何処かおかしい。
さっきから空返事ばっかりで、正面(まとも)に話も聞いてくれない。


「今、話聞いてなかったでしょ?」


大地は「そんなことねーよ」と反論したけど、大地が一瞬眉間にしわを寄せたのをあたしは見逃さなかった。


「あれだろ?体育の宮本はヅラだって話」


「……それはさっきまでの話題。
今話してたのは、さっき観た映画の話!」


「あ……ごめん」


大地は後味が悪くなったのか、黙って手元にあったコーラに口をつける。


何か悩みがあるのだろうか。
頭から離れないような……そういえば、華耶の大事な話とはなんだったんだろう。


もしかして、それが原因?

やっぱり告白したんじゃ……?


「そういえば、華耶の大事な話って何だったの?」


個人の事だとは分かっていても、聞かずには居られなかった。


「ああ、大した事じゃねーよ……部活の事で色々聞かれただけ」


「そっか」


と言う事は、大地の悩みの原因は華耶ではない様だ。
ひとまずホッと息をつく。
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