涙飴

「だって、二人付き合ってるんじゃないの？」


まあこうやって休日に二人で居るのを見れば、普通はそう思うだろう。


「付き合ってねぇよ」


大地は平然とその誤解を解いた。
まあ付き合ってないのは本当だけど、ここまで平然に言われると正直ちょっと悲しい。


「あ、そうなんだぁ！」


心なしか、華耶の笑顔がさっきよりも増した気がした。


「あ！大地君本買ったよ！」


華耶はいきなりそう言うと、手に持っていた紙袋から１冊の本を取り出す。

手帳程の大きさのそれの表紙には、男の人がユニフォーム姿でリフティングをしている写真が印刷されていた。


「『サッカーの全て』…？」

あたしが本の題名を読み上げると、華耶は詳しく説明をする。


「うん！この前さ、あたしサッカーのルールが分からなくて大地君に聞いたら、サッカーについての本買ったら？って教えてくれて」


「へぇー……」