涙飴
「姫月(きづき)ー!」

その声の主は、向日葵の様な笑顔を向けながらあたしの隣に駆け寄ってきた。


「華耶(かや)おはよう」

「おはよう」


そう言うなり、華耶はあたしの顔をまじまじと見て来た。


「…なんか姫月、今日いつもと違う」


「え?そ、そうかなぁ。
別にいつも通りだよ」


あたしの答えに『そっか』と返す華耶を見て、あたしは胸を撫で下ろす。


下駄箱でローファーから上履きに履き替えた所で、華耶がまた口を開いた。


「あ!姫月の携帯見せて!
この前機種変したって言ってたでしょ?」


「いいよー」


バックからピンクの真新しい携帯を取り出して華耶に渡した。
まだ変えたばかりで、ストラップも何もついていない。


「これCMでやってるやつだよね!いいなー……」


華耶はそこでいきなり話を止めた。
華耶の方に視線を向けると、華耶は黙って携帯の画面をじっと見ている。
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