涙飴
「あ…あれは……ごめん。嘘ついた。
でも、応援はしてたよ?
確かに、あたしも大地君の事は好きだった。それは嘘ついた。
でも姫月とうまくいって欲しかったし、あたしは想ってるだけでいいって思ってた」


ナニソレ?
意味が分からない。

上手くいかなくしたのは華耶でしょ?
という言葉が喉まで来たけれど、何とかそれを飲み込む。
冷静を保とうと、あたしは呼吸を整えた。


「じゃあ…何で……?」


何とか声を絞ってそこまで声に出す。
それ以上言うと泣いてしまいそうで、言えなかった。


「あの日……大地君と会って話したら…我慢出来なくなった。

姫月の前で告白なんて酷すぎるって分かってたけど、今すぐ大地君に好きって伝えたくなって……。
ごめんね?怒ってるよね?」


震えた声で華耶が謝って来る。


「もう、いいよ。だってさ、それだけ華耶が大地を好きって事でしょ?
それに人の気持ちなんて、思い通りにいかないものだし。

どっちにしろあたしは振られる運命だった訳だし!」
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