涙飴

放課後

「あ~終わんない!」


美津菜が頭を抱えながら叫ぶ。


「美津菜が放課後やろうって言ったんじゃん」


「だってさぁ……レポートとか一人で黙々とやったって絶対終わんないんだもーん!」


そう言いながら美津菜の手はさっきから動いていない。
あたしはシャーペンを握り直した。


「てか華耶早くない!?」


美津菜は華耶のレポートを覗き込む。
あたしも覗き込むと、華耶のレポートはもう四枚目に突入していた。


「はは~ん……さては今日放課後デートか!」


美津菜がそう言いながら、怪しい目で華耶を見ると、華耶の顔が真っ赤になった。
……図星、か。


「なんだ。だったらそんな急がなくてもレポート家でやればいいのに」


あたしはいつも通りの口調で話す。
だけど、シャーペンを持つ手は止まっていた。


「今日は大地君ちょっとだけ部活あるからさ。
マネージャーは来なくていいって言われたんだけどね。
だから待ってる間に終らしちゃおうかなって思って」


「そっか」


放課後デート、か……。
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