涙飴
茶色い髪の毛に、ピアスのついた耳。
胸元が大きく開いた白いブラウス。
緩く結ばれた赤いネクタイ、スラックスは下の方がたるんでいる。


見るからに不良少年といった感じで、近寄り難い雰囲気を醸し出している。

今だって本を読んでいるけど、ミスマッチ過ぎて正直少し笑える。


それでも、ギャルっぽい子や勇気のある子は話し掛けたりして仲良くなろうと色々と努力をしていた。

でも五十嵐の性格を知り、皆諦めていった様だった。
確かにあんな性格だったら、あたしも諦めると思う。
恐いと言うか、冷めてると言うか。


女の子が何か言ってきても、シカトしたり、『うざい』だの『邪魔』だの『迷惑』だのと平気で本人に言うのだ。

その上、五十嵐は誰にも笑顔を見せない。
誰に聞いても、笑った所は見た事がないと口を揃えて答える。


いつも無表情だし
全然口を開かないし

一緒にいる鳴海とは普通に話している様だけど、他の人とまともに話している所など見た事もないし、想像も出来ない。

ただ分かるのは、五十嵐晃正(いがらしこうせい)という名前だけ。
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