涙飴
「ん?何?」


美津菜がレポートを進めながら聞いて来る。

やっぱり、言おう。
これ以上、一人では耐えられない。


「あのさ…その………」


「だから何?」


「その……この前のテスト…めちゃめちゃやばかったんだよね……」


美津菜がレポート用紙へ向けていた顔を上げる。


「そう言えば姫月、テストの順位教えてくれなかったよね。
……何位だったの?」


「……171位」


「うっそ!232人中?
それはやばいねー……残念ながらフォローの言葉さえ見付からない……」


「しっつれーな!たまたまだよ!」


また大声がでてしまった。
教室が静かだから、余計声が響く。


「あ、ごめん!もう帰らなきゃ。
今日塾でテストあるから始まるの早いんだよねー」


美津菜は机の上にある物をかたし始めた。


「姫月はどーすんの?」


「あたしはレポート仕上げてから帰るよ」


「そっか、じゃあばいばい!」


バッグを肩にかけて、美津菜は教室から出て行った。
教室には、あたしと五十嵐の二人だけが残った。
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