涙飴
三人で午前の焼きそばに立候補したものの、結局競争率が激しく華耶しかなれなかった。

仕方なくあたしと美津菜は午後のかき氷を希望した。
けれどあたしはジャンケンに負けて、これにもなれなかった。


「姫月ってジャンケン超弱いね!」


そう言って、隣で美津菜がケラケラと笑う。


「うるさいなあ!今日は運が無かっただけだから!」


あたしはついムキになる。


「えっと…まだ決まってない人は……織原さんと………

五十嵐君なんで、二人で午後の綿あめお願いします」


学級委員の子のそう話す声が聞こえた。

そういえば、五十嵐は一回も手を挙げていなかった気がする。
って………


「五十嵐!?」


「良いじゃん!かっこいいし」


イケメン好きの美津菜はそう言うけれど、全然良くない。
話した事もないし、恐いし、一緒に綿あめ作るなんて考えられない。

あたしのテンションは一気に落ちていった。
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