涙飴

写真

文化祭当日。
華耶は、淡いピンクに朝顔が咲いた浴衣に身を包んでいた。
ただでさえ可愛い華耶が、いつもの何倍も可愛いく見える。


「浴衣だとやっぱり疲れるね」


お祭りということで、女子は浴衣を着る事になっていた。
あたしと美津菜は午後からなので、まだ着替えていない。


「華耶可愛いから良いじゃん!」


美津菜の言葉に、隣のあたしもうんうんと頷く。

可愛いと何でも着こなせるからいいよね、と美津菜はふて腐れた様に言った。


「大地に見せたら絶対喜ぶよ!」


最近、あたしは自虐的な言葉をよく発している気がする。
美津菜は全く気付いていない、というか気付く筈もないけど。

華耶は……気付いていないと思う。
あたしが大地を好きだった事すら忘れていそうだし。
あたしがこんな事、平気な顔して言うのもいけないんだろうけど。


全然平気じゃないのに。
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