涙飴
美津菜は五十嵐と鳴海の居る席へと近付く。

仕方なくあたしは、その後ろをついて行った。


「ねぇ、ここ座っていい?」


美津菜の声に、五十嵐と鳴海は顔を上げる。
机の上には参考書やら、問題集やらが広げられていた。


「榎田と織原じゃん。
いいよな、晃正」


鳴海が明るい声で五十嵐に聞く。


「別に、いいんじゃない?」


それだけ言うと、五十嵐はまた下を向いて、カリカリと問題を解き始めた。


「やった!あ、あたし鳴海の隣座るから」


美津菜はそう五十嵐達には聞こえない位の声量で言うと、鳴海の隣に座った。

あたしは渋々五十嵐の隣に座る。
この前の事もあるし、五十嵐とはどう接していいのか分からない。

あたしと美津菜が問題集を開いていると、鳴海がニコニコと明るい笑顔を見せながら話して来た。


「あ、分かんないとこあったらなんでも晃正に聞いてね。
こいつ超頭いいから」


そんな言葉に美津菜が反応する。


「この前のテスト一位だったんでしょ?」


「そうそう。すげーよな!」

やっぱり一位というのは本当なのか、とあたしは改めて五十嵐をそういう見る。
美津菜から聞いた時は、正直少なからず疑いの念があった。

五十嵐の解いている問題集を覗いてみると、訳の分からない問題がページの隅から隅までうめ尽くしている。
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