この日を忘れないために
ある生徒が渡り廊下から落ちたのが少し見えた。
一瞬の出来事であった。
あまりにも一瞬で、もう曖昧な残像しかない。

それを見た瞬間、俺の手は震えだした。
細かくだが確かに震える。
中々止まらず、両手で抑えているしかなかった。

悲鳴も聞こえたが、一時の間だけ。
みんな「原因」や「誰が落ちた?」と話していた。
けど、1部の男子は笑って、ふざけていた。
 なぜ笑えるのだろうか?
 なぜそんなことが言えるのだろうか?
原因などは今は関係の無い事。

今、関係あるのは、その人が無事かどうかだ。

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