《完》オフィスでとびきりの夜を
「瑞―――…っ」



何を言いたかったのかも
わからないけど――ただ
いてもたってもいられ
なくて、あたしはその
名前を呼ぼうとした。



だけどその声は、
飲み込まれて消える。



何の前触れもなく唐突に
重なった唇に……声だけ
じゃなく、あたしの呼吸
までも奪われてた。



「んっ………」



(な……んで? 瑞樹……)



意味が理解できない。



硬直する体で瑞樹のキスを
受け止めながら、あたしは
何が起こったのかわから
なくて混乱した。



(こんなタイミングで、
どうしてキスなんて……!?)



――一体瑞樹はどういう
つもりなの?


わけがわかんないよ。
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