《完》オフィスでとびきりの夜を
「オレがどれだけ莉央の
ことを好きか……
莉央ならちゃんと感じて
わかってくれてるって、
思ってたよ」
「み――――!」
とっさに瑞樹の名を
呼ぼうとする。
だけど瑞樹はそれを拒む
ように、顔をそむけたまま
スッと立ち上がった。
「え……待って……!」
出て行こうとしてるんだって。
そう気づいて、あたしは
あわてて手を伸ばす。
でも――その手をスルリと
かわして、瑞樹はあたし
から離れた。
行き場を失った自分の掌が
むなしく空をさ迷う先に、
あたしを見下ろす瑞樹が見える。
「―――――…っ」
瑞樹が何か言おうと一瞬
口を開いた。
だけど、その口から言葉が
紡がれることはなく――。
ことを好きか……
莉央ならちゃんと感じて
わかってくれてるって、
思ってたよ」
「み――――!」
とっさに瑞樹の名を
呼ぼうとする。
だけど瑞樹はそれを拒む
ように、顔をそむけたまま
スッと立ち上がった。
「え……待って……!」
出て行こうとしてるんだって。
そう気づいて、あたしは
あわてて手を伸ばす。
でも――その手をスルリと
かわして、瑞樹はあたし
から離れた。
行き場を失った自分の掌が
むなしく空をさ迷う先に、
あたしを見下ろす瑞樹が見える。
「―――――…っ」
瑞樹が何か言おうと一瞬
口を開いた。
だけど、その口から言葉が
紡がれることはなく――。