《完》オフィスでとびきりの夜を
瑞樹とはあれ以来ずっと、
会社で仕事の話をする
以外は全く話してない。



あたしを“会社の先輩”
としてしか見てないうわべ
だけの態度に、その度
あたしの胸は引き裂かれ
そうなくらい痛んで。



どうしていいかわからない
まま、どんどん時間だけが
過ぎていってた。




そんなある日――…。



会社に着いて少しした頃、
仕事を始めようとしたら
急に藤倉課長に名前を呼ばれた。



「なんでしょうか?」



立ち上がって課長の席の
前に移動すると、課長は
顔の前でスッと片手をたてて、



「ゴメン。

急で悪いんだけど、今日
外に出れる?」



「えっ??」



いきなり何かと思い
素っ頓狂な声をあげるあたし。
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