《完》オフィスでとびきりの夜を
課長はデスクの上の電話を
軽く指差して、



「今沙織から電話あって、
お母様が倒れられたそうで
今日お休みするって」



「えっ!?」



沙織さんはたしか年配の
お母さんと二人暮らしだ。


あたしは心配で思わず
課長につめ寄った。



「だ、大丈夫なんですかっ!?」



すると課長はウンウンと頷いて、



「過労ですって。

もう病院で、落ち着かれた
そうだけど。

けどまあ心配だろうし、
休みは当然了承したんだけどね。

今日は沙織、瑞樹と一緒に
プレスの件で出かけて
もらう予定だったのよ」



「あ…………!」



言われてあたしも思い出した。



撮影用の衣装が出来
上がって、そろそろ広報
用のポスター撮影なんかも
スケジュールが迫ってた。
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