《完》オフィスでとびきりの夜を
そんな予定、今日は特にない。


もちろん課長だってそんな
ことは確認済であたしに
声をかけてるに決まってた。


でも、



「ほ、他に誰かいませんか?

できれば……」



恐る恐る尋ねると、課長は
少しだけ眉間にシワを寄せて、



「沙織の代わりが誰でも
できるわけないでしょ。

キミしかいないから
頼んでるんじゃない!」



「は、はいっ……!」



迫力ある声でピシャリと
言われて、それ以上逆らう
ことができない。



首をすくめて縮こまった
あたしに、課長は落胆とも
とれるため息をついて、



「どうしたの?

みんな一生懸命やってる
のに、先輩の莉央がそんな
態度でどうするのよ??」



「………すいません」
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