《完》オフィスでとびきりの夜を
瑞樹が『いえ』と会釈を
返すとその人は次に
こっちを見た。



あたしも挨拶しようと
彼と目を合わせて――…
その途端、驚きに目を
見開いてしまう。



「え…………!?」



(ウソ……。まさか……!?)



信じられない。


でもそれが間違いじゃない
ことは、すぐに明らかになった。



「え………。莉央、か?」



目の前の彼――
“カメラマンの桜井さん”
と呼ばれた人物も、ア然と
した顔でそうあたしの
名前を呼んだから。



「圭輔(けいすけ)………!?」



彼の名前を口にしながら
思い出す。

……そういえば圭輔は
桜井って名字だった。




「……驚いたな。

何年ぶりだ、いったい」
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