《完》オフィスでとびきりの夜を
それをわかってもらえる
ように……安心させる
ように見つめた目線で、
あたしの気持ちは伝わった
みたい。



瑞樹は頬を緩めてニコッと
笑うと、



「そっか。まぁそうだよね。

とにかく、性格悪いヤツ
じゃないといいよなー」



なんて、何事もなかった
ように明るく言いながら、
あたしの数歩前を歩き出した。



(……ゴメンね、心配させて)



ここが会社の近くじゃ
なかったら、追いついて
行ってそのたくましい腕に
しがみつきたいな。



だけどここじゃまだ
できないから、あたしは
小走りに追いついて横に
並ぶと、そっと囁いた。



「――あたしが今好き
なのは、瑞樹だけだよ」
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