《完》オフィスでとびきりの夜を
そう思ってたけど、瑞樹は
ゆっくりと首を横に振って
くれた。



そして一言一言区切るように、



「何も言わなかったのは、
オレも一緒だから。

今は言わなくていいって
思ってたけど、やっぱ
それは間違いだった。

ちゃんと莉央の話をオレが
全部聞いてあげてたら――
そんな誤解、すぐ解けたのにな」



『ゴメン』って。



瑞樹は心底申し訳なさ
そうな顔で、謝ってくれる。



あたしは信じられない
思いでマジマジと彼を
見つめ返してた。



久々に見る、瑞樹の
穏やかで優しい瞳。



また瑞樹がこんな表情で
あたしを見てくれるなんて
夢のようで、嬉しくて――。


でも、ホントにいいのかな
って気にもなっちゃう。
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