《完》オフィスでとびきりの夜を
「ううん。そんなことないよ」



あたしは迷わず首を横に振った。



頬に触れてた瑞樹の指が
ピクッと震えるのがわかる。



「瑞樹がホントに一生懸命
この企画に取り組んでる
のはわかってた。

それに――今日の撮影を
見て、少しだけわかったと思う」



瑞樹がこんなに頑張ってる理由。



圭輔の言葉で笑った最後の
笑顔を見た時に、わかった
気がしたんだ。



「瑞樹はホントに、仕事が――
それにうちのレーベルが、
大好きなんだよね。

だから商品を売り出すのに
役立つなら、モデルも
やってみたかった――」



あたしがそう言うと、
瑞樹はフワリとほほ笑んだ。
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