《完》オフィスでとびきりの夜を
急に変わった雰囲気に
ドキッとしてると、瑞樹は
その表情のままそっと肩を
起こしあたしを見て、



「だけどさ――…

オレも、聞いていい?

今さらだって、また
怒られるかもしれないけど」



「え――――?」



瑞樹が、あたしに聞きたいこと?



「な、何?」



かすかにトクトクと鳴る
鼓動を押さえつつ聞くと、
瑞樹は言葉を選ぶように
ゆっくりと言った。



「――桜井さんのこと。

オレだって相当モヤモヤ
してたんだよ。

桜井さんが莉央の昔の
カレシだって聞いた時にはさ」



「あ…………!」



そういえばそうだった。



あたしは課長と瑞樹の事で
頭が一杯になって、もう
忘れかけてたけど。
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