《完》オフィスでとびきりの夜を
目を真ん丸にして見つめる
あたしに、瑞樹は諦めたように

『こうなったらとことん
つき合うから』

と言って、ようやく笑みを
覗かせる……。



「………………」




なんだかんだ言って、
応援してくれてるんだって。



そんな優しさに今さら
ながら気づいて、胸が
ジンと熱くなった。



「………ありがと」



ようやくあたしは肩の力を
抜いて、そっと瑞樹が
置いてくれたカップに
手を伸ばす。



スープっていっても
具沢山の大きいヤツで、
両手で包むように持った
カップはまだあったかかった。



ほんわりと両手から伝わる
その温もりは、瑞樹の
優しさとシンクロして、
あたしの心を温めてくれる……。
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