《完》オフィスでとびきりの夜を
「はぁ? 

ったく――どこまで
食いしん坊なんだか」



『やれやれ』って肩を
すくめながらも、瑞樹は
自分のスプーンで一口、
あたしにスープをわけてくれた。



「ホントだ、こっちも
おいしい!」



「よかったね。

もー、そんなに気に
入ったならこっちもあげるよ」



「え、いいの?」



「いいよ。

そのかわり――…」



途切れた言葉の先は、
かすめるそよ風のような
素早いキス。



「―――――!!」



「へへっ、かわりにこっち
もらった♪」



「もぉっ、何してるのよ、
会社で――!!」



「何を今さら。

キスしてなくても、この
状況見られたら普通に
アウトだって」
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