《完》オフィスでとびきりの夜を
「あ、ちょっと待ってよ……!」



さすがにこんな説明じゃ
瑞樹も納得できないみたい。



一瞬ためらった感じは
あったけど、瑞樹はサッと
片手を伸ばすとあたしの
腕を掴んで引き止める。



動きを止められたあたしは
困ったように瑞樹を見上げた。



「は、離してよ」



「ダメ。

ちょっと待って、オレも
ジュース買うから」



最後に小声で、
『それ口実に探しに来たんだよ』
とつけ加える瑞樹。



そっか……ついでを装って
探しに来たけど、本当は
あたしのこと心配してくれた。

そういうことだよね……。



「ゴメン……」



ゴメンね瑞樹。心配させて。
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