《完》オフィスでとびきりの夜を
瑞樹がそんなことを言う
なんて思ってもなかった。



(考えさせてって……
どういうことよ?

まさか、やるかもしれない
ってゆーの――!?)



「ちょっと瑞――…!」



あたしは状況も忘れて
瑞樹につめよりそうに
なったけど――幸か不幸か
それは課長の声に遮られて
しまった。



「あら、ちょっと意外ね。

キミなら絶対すぐOKして
くれると思ったのに。

――何か迷うことでもあるの?」



「すいません……。

けど――…」



『1日だけ時間を下さい』って。



瑞樹はもう一度、さっきと
同じセリフを繰り返した。



藤倉課長はしばらく黙って
瑞樹を見てたけど、やがて
フゥッと小さく息をはいて、



「わかったわ。

いいわよ、それじゃあ明日
答えを聞かせてちょうだい」
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